冬のドイツを代表する風物詩といえば、クリスマスマーケット。石畳が敷き詰められた広場に、温かい光を放つ木製の屋台が立ち並び、甘い香りと賑やかな声が街中に響き渡ります。

この記事では、世界中の観光客を魅了し続けているドイツのクリスマスマーケットについて、その魅力や楽しみ方を詳しくご紹介します。

ドイツのクリスマスマーケットとは？

歴史と魅力

ドイツのクリスマスマーケットの歴史は古く、中世にまで遡ります。当初は冬支度のための品物が売られる1日限りの市場で、主に肉を販売する権限が商人に与えられていましたが、14世紀に入ると、工芸品やお菓子、子供たちのクリスマスプレゼントなども売られるようになりました。

その後、宗教改革を経てクリスマスならではの祝祭的な市場へと発展し、19世紀以降にはヒュッテ（木造の小屋）の導入やイルミネーションなど、現代のクリスマスマーケットの原型が確立されました。

現在では、ドイツ国内で2,500以上のクリスマスマーケットが開催されていて、地域の魅力を発信する重要なイベントとなっています。近年では、環境への配慮からサステナビリティへの取り組みも進んでいます。

開催期間

ドイツのクリスマスマーケットは、一般的に11月末から12月24日（クリスマスイブ）まで開催されます。ただし、地域によって開催期間は少し異なり、たとえばベルリンやケルンなどの大都市では、クリスマス後も年末まで延長して開催されるケースもあります。

開催時間は、午前から夜遅くまでと長時間に及びます。特に、日没後から午後8時頃がピークタイムとなり、幻想的なイルミネーションと共に最も賑わいを見せます。

ただし、気温や天候による営業時間の変更も珍しくありません。たとえば、大雪や強風の際は安全のため早めに営業を終了することがあります。また、クリスマスイブは家族と過ごす大切な時間とされているため、多くのマーケットは午後2時頃には営業を終了します。

実際にクリスマスマーケットを訪れる際は、事前に各マーケットの公式サイトやSNSで最新情報を確認しておきましょう。

ドイツ三大クリスマスマーケットの特徴

ニュルンベルク

ニュルンベルクのクリスマスマーケットであるクリストキンドレスマルクトは、世界一有名なクリスマスマーケットの一つとして知られています。中世の面影を残す旧市街の中心、ハウプトマルクト広場で開催され、毎年200万人以上の観光客が訪れる一大イベントです。

マーケットの歴史は17世紀まで遡り、当時から変わらない伝統と品質へのこだわりが特徴です。たとえば、出店者は厳格な審査を通過する必要があり、大量生産品や海外製品の販売は禁止されています。これにより、地元の職人による手作り品や伝統的な商品のみが並ぶ、本物志向のマーケットとして高い評価を得ています。

マーケットのシンボルは、金色の髪の毛とクリスマスドレスに身を包んだクリストキント（幼い子供の天使）です。毎年11月末の開幕式では、このクリストキントが教会のバルコニーから祝福のメッセージを述べ、マーケットの開催を宣言します。この伝統的な開幕式は、テレビでも生中継され、ドイツ全土でクリスマスシーズンの始まりを告げる重要な行事となっています。

ニュルンベルクならではの名物として、ニュルンベルガー・レープクーヘンとニュルンベルガー・ブラートヴルストが特に人気です。レープクーヘンは、たっぷりのはちみつと独特のスパイシーな香りが特徴の伝統的な焼き菓子。また、ブラートヴルストは、その小ぶりなサイズとジューシーな味わいが特徴のソーセージで、ニュルンベルク市民のソウルフードの一つです。

ドレスデン

ドレスデンのシュトリーツェルマルクトは、1434年に始まったドイツ最古のクリスマスマーケットのひとつとして知られています。エルベ川沿いの美しいバロック建築が立ち並ぶ旧市街で開催され、600年近い歴史の中で培われた伝統と、現代的な要素が見事に調和しています。

マーケットの最大の見どころは、高さ14メートルにも及ぶ世界最大級のクリスマスピラミッドです。夜間にはライトアップされ、幻想的な雰囲気を醸し出します。

ドレスデンの名物である、ドライフルーツとナッツがたっぷり入ったクリスマスの伝統的なパン「シュトーレン」も見逃せません。毎年12月初旬に開催されるシュトーレン祭りでは、パレード隊が重さ数トンもの巨大なシュトーレンとともに街を練り歩き、その後、シュトーレンが来場者に振る舞われます。

シュトゥットガルト

シュトゥットガルトのクリスマスマーケットは、世界最大のクリスマスマーケットともいわれています。シュロス広場、シラー広場、マルクト広場、カールス広場の4会場で同時開催され、出店数は300店舗以上。

出店者による屋台の装飾コンテストが開催され、各店舗が趣向を凝らした装飾で競い合うため、マーケット全体が一層華やかな雰囲気に包まれます。

また、旧宮殿の中庭では毎晩コンサートが開催され、クラシック音楽やゴスペルの演奏を無料で楽しむことができます。クラシック音楽やゴスペルの演奏だけでなく、地元の合唱団による歌声も楽しめます。

シュトゥットガルトのクリスマスマーケットは、家族連れでも楽しめるように、様々なアトラクションが用意されています。移動遊園地や子供向けのワークショップなど、大人も子供も楽しめる空間です。

クリスマスマーケットの魅力

伝統的な雰囲気・美しい装飾

ドイツのクリスマスマーケットの最大の魅力は、中世から続く伝統的な雰囲気と美しい装飾の数々です。石畳が敷き詰められた広場には、ヒュッテが立ち並び、それぞれが趣向を凝らした装飾で彩られています。

日が暮れると、無数のイルミネーションが街を温かな光で包み込みます。大きなクリスマスツリーを中心に、建物や通りに張り巡らされた電飾が、幻想的な雰囲気を演出します。特に雪が降る日には、その光が雪に反射して、より一層魔法のような空間が生まれます。

グルメ

グリューワイン（ホットワイン）

クリスマスマーケットを訪れたら、まず味わいたいのがグリューワインです。赤ワインをシナモンやクローブなどのスパイスで温めた伝統的なホットワインで、寒い冬の夜を温めてくれる人気のドリンクです。

各クリスマスマーケットでは、毎年異なるデザインのグリューワインカップが用意されます。グリューワインを購入すると、通常はカップ代にデポジットが含まれています。このカップを返却すると、デポジットが返金されますが、返金を希望しなければそのまま持ち帰ることができます。

ソーセージ

ドイツと言えばソーセージ。各地域の特色を活かした様々な種類のソーセージが、炭火でジュージューと焼き上げられています。たとえば、ニュルンベルクの小ぶりなブラートヴルストや、テューリンゲンの長いロストブラートヴルストなど、地域ごとの特徴的なソーセージを楽しむことができます。

ソーセージは通常、ザワークラウトやポテトサラダと一緒に提供され、パンを添えて食べるのが一般的です。

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レープクーヘン

レープクーヘンは、はちみつとスパイスを使った伝統的なクリスマスの焼き菓子です。ジンジャーやシナモン、ナツメグなどのスパイシーな香りと、しっとりとした食感が特徴です。

クリスマスの時期に、家族や親戚が集まって一緒に作る習慣が定着し、クリスマスのお菓子として親しまれるようになったレープクーヘン。クリスマスの到来を実感することができるため、クリスマスマーケットでも人気があります。

手工芸品

木製のオーナメント

エルツ山地の伝統工芸として知られる木製のクリスマスオーナメントは、クリスマスマーケットの定番商品です。くるみ割り人形、煙出し人形（お香立て）、クリスマスピラミッドなど、職人の手作業による繊細な細工が施された品々は、世界中のコレクターに愛されています。

これらの木製品は、単なる装飾品としてだけでなく、ドイツの伝統文化を今に伝える芸術品としても高い評価を受けています。

キャンドル

手作りのキャンドルもクリスマスマーケットの人気商品です。蜜蝋を使用した自然素材のキャンドルや、カラフルな装飾が施されたアドベントキャンドル、様々な形や香りを楽しめるアロマキャンドルなど、種類も豊富です。

職人の実演販売も行われており、キャンドルが作られていく過程を間近で見ることができるのも魅力の一つです。

イベント

クリスマスマーケットでは、期間中様々なイベントが開催されます。たとえば、聖歌隊による讃美歌の合唱、管楽器の演奏、人形劇の上演など、クリスマスシーズンを彩る多彩な催しが毎日のように行われています。

子供向けのイベントも充実しており、サンタクロースとの記念撮影や、クリスマスベーカリーでのお菓子作り体験、移動遊園地での遊具など、家族で楽しめるアトラクションが用意されています。

おわりに

ドイツのクリスマスマーケットは、クリスマスシーズンになると街中に現れる、温かい飲み物、美味しい食べもの、そして美しい装飾で溢れる冬の風物詩です。

世界中で人気を集めるクリスマスマーケットですが、その発祥の地はドイツ。冬にドイツ旅行をする際は、歴史ある伝統と現代のクリスマスムードが融合した、魅力あふれるイベントにぜひ足を運んでみてください。

ドイツ旅行の際は、インターネット環境を整えておくことが重要です。インターネットに接続できれば、マーケット情報がリアルタイムで確認でき、地図アプリなどを使って目的地にたどり着くことができます。翻訳アプリを使えば、ドイツ語や英語がわからなくても、看板やメニューが理解できますし、撮った写真をSNSで共有するのにも便利です。

ドイツ旅行でインターネットをご利用の際は、グロモバWiFi、グロモバeSIMをぜひご検討ください。